1. 研究成果の公開と利活用
  2. オープンアクセスの動向

オープンアクセスの動向

研究成果の公開と利活用 〈 学習編 〉

オープンアクセス運動の背景

1980年代末頃から、学術雑誌購読料の恒常的な価格上昇によって、購読タイトル数が減少するという問題:シリアルズ・クライシスが顕在化してきました。一方で1990年代後半から、IT技術の飛躍的発展により学術雑誌の電子ジャーナル化が進みました。
電子ジャーナルは紙媒体とは違って、出版・流通のコストが削減できるので、シリアルズ・クライシスの解決策となることが期待されましたが、実際には価格上昇の傾向は変わりませんでした。そのため研究機関が電子ジャーナルを購読維持できず、所属する研究者が必要な論文を入手できないといった問題が生じました。
そうしたシリアルズ・クライシスに対抗する動きとして、オープンアクセスのムーブメントが生まれました。

プレプリントサーバ・機関リポジトリの誕生

プレプリントサーバや機関リポジトリなど、研究者が自ら論文をインターネット公開するプラットフォームが生まれました。

  • 1991年 ”arXiv”の前身となるプレプリントサーバが誕生
  • 1996年 バージニア工科大学が世界初の機関リポジトリを立ち上げる

オープンアクセス出版社の誕生

オープンアクセス運動の興隆を受けて、全ての論文をオープンアクセスで出版する出版社が設立されました。

  • 1998年 BioMed Central設立
  • 2001年 PLOS発足

ブダペスト・オープンアクセスイニシアティブ (BOAI) (2002年)

2001年にブダペストで開催された会議と、翌年に発表された声明「ブダペスト・オープンアクセスイニシアティブ」では現在最も共有されているオープンアクセスの定義と、二つの実現方法(グリーンOA/ゴールドOA)が示されました。

  • グリーンOA・ゴールドOAについて

政策によるオープンアクセス推進

2010年代からは、世界各国でOA推進政策が実施されるようになりました。

大統領府科学技術政策局(OSTP)パブリックアクセス方針(2022年)

連邦政府からの助成を受けた研究による出版物および根拠データについて即時オープンアクセスを求めるものです。

国立衛生研究所(NIH)パブリックアクセス方針(2008年)

NIHの助成金を受けた研究者に対し、査読付き雑誌論文の最終原稿電子版を、デジタル・アーカイブ PubMed Central(PMC)で公開することを義務付けるものです。
2024年12月に上記OSTPの方針を受けて改訂が行われ、2026年以降はこれまで認められてきた出版後最大12か月のエンバーゴ(公開猶予期間)が廃止され、即時オープンアクセスが求められることになりました。

欧州共同 Plan S(2018年)

欧州研究助成機関の国際コンソーシアム「cOAlition S」による即時オープンアクセス推進計画で、公的助成を受けた研究成果物の即時公開を目指すものです。

イギリス Research Excellence Framework (REF) 2021

国が大学に交付する研究活動費配分の基となる評価基準REFにおいて、機関リポジトリ等に登録されている研究成果のみが評価対象とされるようになりました。

内閣府 第6期科学技術・イノベーション基本計画 (2021年)

「オープンサイエンスとデータ駆動型研究等の推進」について言及があり、研究データの公開・共有の基盤整備のため、2025年までに機関リポジトリを有するすべての研究機関がデータポリシーの策定を進めることが目標とされました。

参考大阪大学研究データポリシー

統合イノベーション戦略2023 (2023年6月)

「学術論文等のオープンアクセス化の推進」が挙げられ、これを受けて、下の「学術論文等の即時オープンアクセスの実現に向けた基本方針 」が決定されました。

学術論文等の即時オープンアクセスの実現に向けた基本方針(2024年2月)

公的資金のうち2025年度から新たに公募を行う競争的研究費の受給者に対して、学術論文及び根拠データの学術雑誌への掲載後即時に機関リポジトリ等でオープンアクセス化することが義務付けるものです。
詳しくは、

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